賛成討論 120926

陳情第5号
茨城厚生連 県北医療センター高萩協同病院に対し、患者給食に外部委託を導入せず、地産地消で地域振興を進め、地域医療を充実する立場で、病院運営を行うよう働きかけを求める陳情
に、賛成の立場から討論を行います。
 この陳情者は、TPPから食と医療を守る農協病院職員・利用者会議の方々から4000名以上の署名を添えて提出されたもので、市として、高萩協同病院に対して働きかけを求める内容になっております。
 さて陳情の中にも書いてありましたが、そもそも高萩市が協同病院に対して行ってきた補助はどういうものであったか。
 安良川からグリーンタウンてつなへの移転改築にかかる諸々の費用の一部、土地や建設費の一部、旧病院解体費、病院運営補助、医師確保のための補助など、すでに10億円を超える補助をしてきました。その根拠は、陳情書で言っている「市民病院的な役割」だからではありません。厚生連が経営する病院、つまり公的医療機関だからであります。
 協同病院が公的医療機関でなければ、法的には市は一切補助金を出せないのであります。

 私は平成15年7月17日の臨時議会において、「高萩協同病院移転改築に関する協定書」を策定するさいに、次のような要望をしました。

高萩協同病院の移転改築に当たり、市が補助する以上、同病院には名実ともに公的医療機関としての使命・役割を担う責任がある。
協定書を交わすに当たっては、以下、強く要望する。

 1. 地域の医療要求や病院に対する要望を積極的に聞き、それに応える医療・診療体制を確立すること
 2. 救急救命医療・へき地医療・災害医療や不採算診療科など、営利を追求しない医療を担うこと
 3. 患者の人権保障、インフォームドコンセントの徹底、安全な医療の提供など、国民が求める規範的な病院となること
 4. 地域の民間病院・診療所の後方病院として、紹介患者の受け入れ、逆紹介などの病診連携をしっかりとること
 5. 健康増進・予防・健診活動から治療後のリハビリテーション・社会復帰へと連続するサービス提供のため、保健所・民間医療機関・福祉施設等とのネットワーク、関係団体・自治体との連携を図ること
 6. 先進的医療・高度医療・特殊医療など、公的医療機関だからこそできる医療を担い、民間医療機関との連携を図ること
 7. 医師の臨床研修・医療技術者の養成など教育機能を果たすこと
 8. 全体の医療水準を引き上げるモデルとなること

 これらの内容は病院の経営者側ももちろん心しなければならないことですが、高萩市としては協同病院が公的病院としての役割を努めているかどうか、常に確認する立場にあります。
 また公的医療機関で働く以上、その職員はその自覚を持たなければなりません。
 今回の陳情はその職員から提出されているわけですが、陳情書の原文を見ると、市と病院との関わりに関する部分以外に、経営側と従業者間の労使間の問題が含まれており、その部分においては、市として病院側に言及できるものとは思われません。

 また一方で、国では、平成19年12月、「公立病院改革ガイドライン」を策定・公表しました。ガイドラインの概要は、次のような内容です。

  公立病院改革の必要性として、
 公立病院をはじめとする公的医療機関の果たすべき役割は、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにあるが、近年、多くの公立病院において、損益収支をはじめとする経営状況が悪化するとともに、医師不足に伴い診療体制の縮小を余儀なくされるなど、その経営環境や医療提供体制の維持が極めて厳しい状況になっている。

 このような状況を踏まえれば、公立病院が今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくためには、多くの公立病院において、抜本的な改革の実施が避けて通れない課題となっている。
とあり、公立病院には改革プランを立てなければならないとする指針が示されたのであります。

 公立病院でさえ経営の改革を求められる社会状況になっているわけです。
 公的医療機関である協同病院も、このように公立病院に求められる改革に準じて求められることは、理解にたやすいのであります。

 公的医療機関として採算性を追求しないことを求められながら、一方では経営健全化も求められているのであります。

 現在の高萩協同病院の状況は当にこの矛盾の狭間で、最善を求めながら苦悶しているものと思われます。

 その上で高萩市として協同病院に求めたいものとして、医師確保はもとより、災害時対策と地産地消の推進ではないでしょうか。昨年3.11のことを考えると、災害時の食事を含む対策を確立しなければなりません。防災計画のうち、病院対策においては、どうしても協同病院の協力が必要であります。

 また、地域経済が冷え込む中で、地産地消の推進で活性化することも大事な市の政策になります。


 最後に付け加えますが、今回この陳情が提出されたことによって、病院給食の問題や、公的医療機関としての協同病院のあり方、高萩市のとるべきスタンスを改めて考える機会になったことは間違いありません。そういう意味で、提出者を始め関係各位に対し、感謝申し上げる次第であります。
 以上、現在の社会状況、病院側の状況、市としての立場を鑑み、今回のこの陳情を採択することによって、最善のための協議が進むことを期待し、賛成討論といたします。