平成27年3月定例議会一般質問
1.市民の公平性について
「まじめに頑張る人が報われるまちに」
①受益者負担の原則
②市民サービス、市民生活支援等の公平性
③公共施設維持管理費
④各種補助金、助成金
2.高萩創生について
「地方創生競争社会にどう立ち向かうか」
①高齢化対策
②少子化対策
③人口減少対策
④資産対策
⑤広域行政について
<登壇1回目>
おはようございます。10番今川です。今日は3月10日、2011年3月11日の東日本大震災からちょうど4年になります。質問に入る前に、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りいたしますと共に、未だ避難生活を余儀なくされています方々へ心からお見舞いを申し上げます。
震災から4年、この間、高萩市も復旧復興を最重要事業として取り組んできたことは、紛れもない事実ですし、さらに、震災の経験を活かした防災計画の策定や、高萩市の真の復興とはどういうものなのか、議論と検討を重ね、できるものならば震災以前よりもさらに、理想に近づくまちづくりを目指していると思っています。このことはまさに、復興というイメージに縛られない、地方創生という新しい価値創造のビジョンをもって、前進のための呼びかけだと思います。こうしたことを考えながら今回の質問に向かっております。
それでは1項目目の「市民の公平性について」質問いたします。公平性というのは、法の精神であり、行政の根幹であります。しかしながら時に政治という意思が、住民の公平性をゆがませることにもなると思うのであります。
行政の公平性が確保されることは、市民の行政に対する信頼につながり、逆に少しでも不公平感を与えてしまっては、直ちに不信感を買ってしまいます。市政において最も大切な市行政と市民の信頼関係がより強いものになるように願うものです。
そうした思いを込めて、今回は4点について市民の公平性の検証を試みながら、市長執行部が実施する政策・事業と、その公平性においての最良のバランスを見いだせればいいなと思います。
1点目は、受益者負担の原則を明確にし、公表・周知により市民の共通認識とすることが必要だと思います。それにはまず、昨年11月26日の全員協議会で示された、平成26年度 使用料・手数料の見直しに関する基本方針という資料の内容を、公表・周知があるべきだと思います。
この基本方針の内容は、
1.受益者負担の原則と公平性の確保
2.算定方法の明確化
3.利便性の向上
4.新料金の適用時期
という項目から示されています。詳しくは述べませんが今後の取り組みを伺います。
それから、使用料手数料とは性質が違う、例えば特別会計の国民健康保険事業や介護保険事業などは、自己負担率が明確に決められ運営されています。また、企業会計である上下水道事業でも、自分が使った分だけ料金を支払い、負担率は明確になっています。国保や介護や上下水道などは、人によって使う量がバラバラであり、多い人は多く負担する、少ない人は少なく負担するという、受益者負担がしっかり機能していると思います。
ところが、今回特に取り上げたいのは、ゴミ処理に関する受益者負担をどう考えるかということです。現在一般家庭ゴミはゴミ袋の有料化で自己負担をするようになりました。が、受益者負担の基準が明確になっていないと思います。
どういうことかと言いますと、一般家庭系可燃ごみを例にしますが、焼却処理単価はtあたり27,000円です。
可燃ごみ処理袋45㍑1枚30円、このゴミ袋1枚30円がいわゆる自己負担、受益者負担ということになります。
ここからよく聞いていただきたいと思います。
あるAという家庭では普通に生ゴミとその他の燃えるゴミを混ぜて、45㍑のゴミ袋に、10㎏のゴミを入れて出すとします。10㎏の焼却処理費は1tの100分の1で270円になりますので、ゴミ袋代30円という自己負担率は11.1%になります。
Bという家庭では生ゴミを自宅で処理し、リサイクルもしっかりやっているので、可燃ごみの重量が重くならず、45㍑のゴミ袋に3㎏のゴミを入れて出すとします。3㎏の焼却処理費は81円になり、自己負担率は37.0%となります。
おおざっぱに言うとAは1割の自己負担と9割の公費負担、
Bは4割弱の自己負担と6割強の公費負担
仮にAとBが同じ税金を納めているとすると、BはAの3倍から4倍の負担をしていることになります。
これで公平と言えるでしょうか?
それから事業系ごみは、家庭系ゴミより自己負担率は高い設定になっていますが、とはいえ、公費負担もあるのですから、一概には言えませんが、事業者は一般家庭にも負担を強いている可能性があるのではと思います。
事業系ゴミは営業によって出るゴミですから、本来はゴミ処理経費も商品代金に入っているものであります。事業者はお客さんからゴミ処理費用をもらっておきながら、さらに公費を出させていると言えないでしょうか。
こうしてゴミ処理費用を考えると、上下水道のように、出した分だけ料金を負担するのが公平だと思いますが見解を伺います。
次に2点目の、市民サービスや市民生活支援等の公平性についてです。この事業は市民生活などにおいて少しでも役に立てていただこうとの補助事業でもあります。今回はその中でもプレミアム付き商品券と太陽光発電システム設置補助金について考えたいと思います。
まずプレミアム付き商品券は震災以降毎年行ってきた事業であり、経済効果や生活支援において、その効果が実証されてきたところではあります。これまで実施してきた商品券は、1万円の商品券を買うと1万1千円分の買い物ができるということで、この商品券を買うと結果的には千円得をすることになります。この得をするという部分が市民サービスであり、生活支援の意味になると考えられます。
ここで問題提起します。このプレミアム付き商品券は、買った人と、使ってもらったお店だけが得をするもので、商品券を買う買わないは選択肢において公平と言えます。が、買いたくても買えない人もいるのではないかと考えると、果たして公平と言えるでしょうか。
是正策として例えば、商品券販売価格を1万円単位から5千円単位にすれば、より多くの市民に買う機会が増えるのではないでしょうか?その方がより公平に近づくことになると思いますが見解を伺います。
それから二つ目の太陽光発電システム設置補助金についてですが、この補助金も設置する人には得になり、設置しない人には何もないものです。また、設置したくても自宅状況が日陰であったり、面積が小さかったりで効率が悪くてメリットがないという人もいると思いますが、結局そういう人も設置を見合わせて補助金を受けることはありません。お金があって条件がいい人だけが受けられる補助金であります。公平と言えるでしょうか?
私は電気の買い取り制度が始まった、平成24年の9月議会で提案していますが、例えば設置したくても設置条件が満たないような人のために、市民出資型の太陽光発電所をつくることで、より公平な補助事業になると思うのであります。見解を伺います。
次に3点目の公共施設の維持管理費についてです。
まず利用料手数料については先ほど話をしました、使用料手数料の見直しが示され、来年度4月1日から適用されることが決まっていますので、公平性が進んでいると理解しています。1点だけお聞きしますが、この使用料手数料は改定される新料金をもって、公平性の目標を達成できるということでしょうか。それとも理想とすべき目標に向かっての段階的措置でしょうか?お聞かせください。
今回、公共施設の維持管理という問題で特に取り上げたいのは、防犯灯や街路灯など、維持管理経費の負担をしているのが地元常会であったり、個人であったりする夜間照明であります。
夜間照明は常会に入っていようといまいと、その場所の付近一帯に恩恵があるわけですが、維持管理費の負担は常会加入者だけというのは公平ではないと思うわけです。
また、違う角度から見ると、常会加入率が低い地域は、防犯灯の維持費の負担が大きくなり、照明を消してしまったり、電気が切れたまま放置してしまったり、器具そのものを外したりするほかなく、その地域が暗くなってしまい不安が大きくなってしまう懸念があります。現実、そうした問題も起きているのではないでしょうか。
このような問題に対して、公平性の上から、防犯灯などの維持管理経費の負担を、見直す必要があると思いますが見解を伺います。
次に4点目の各種補助金についてです。これは多方面にいろんな団体に対する補助金がありますが、例えば、代表的なものとして商工会や観光協会への補助金があります。
補助目的はいろいろ謳われるわけですが、もしかすると、実施される事業が一過性の、その場限りのものであったり、社会状況の変化に対応していなかったり、皮算用的であったり、夢物語になってしまったり、そうなる可能性もあるのではないかと心配になります。そう考えるとやはりこれも市民の公平性に照らし合わせてみる必要があると思うわけです。
補助事業はこれまでも補助要件というものがあり、その中で実施されてきたのは間違いありません。今回私は、この補助事業が補助を受ける団体のメリットだけではなく、その事業が市民に波及し市民のメリットに繋がってこそ、市民を含めての公平な事業になるのではないかと考えるものです。それには補助事業の目的と方向性を明確にし、そのチェック体制もしっかりつくることだと考えます。
市民の公平性に繋がる目的と方向性とは、補助金がその団体の自立と持続を促し、自助努力を養成し、その効果が市民に還元される、それが理想だと、目指すべきものだと思うのであります。
その方法の一つとして、これまでも行っている補助対象事業の事業計画、事業報告のチェックに、評価という観点を重視することがポイントになると思います。
また、補助を受ける団体には、自らPDCA、つまり、計画、実行、評価、反映というサイクルをしっかりつくり、事業をよりよいものにしていくシステムを導入するように求めるのもポイントになると思います。見解を伺います。
1項目目の質問を終わりまして、2項目目の高萩創生について質問いたします。この高萩創生は小田木市長が年頭から掲げているテーマでもあると思いますので、市長、待ってましたぐらいの勢いで市長の高萩創生のビジョンを大いに展開していただきたいと思います。
まず私の高萩創生への思いを述べさせていただきます。この創生という言葉や打ち出しは、国の安倍政権が昨年ぐらいから言い始めた「地方創生」という重点政策から来ているのかなと思います。一時は地域主権ということが言われていましたが、人口減少時代に入り、とりわけ地方の過疎化や疲弊感は対策無くしては始まらないということだと思います。その対策が地方創生ということなのでしょう。そして国は「頑張る地方はしっかり支援する。予算をつける。」とのメッセージを発信しているように報道され、それを受ける地方自治体は、躍起になって活性化策や人口増大策を考え始めているのかも知れません。
でももしこの自治体間競争とも言える政策合戦がエスカレートしたら、住民の取り合い奪い合いになり、ある自治体は人口が増え、かたや住民をとられて人口が減る、結局地域としての人口が増えるわけでもなく、自治体間の弱肉強食による淘汰が行われてしまうのではないだろうか。私はこれは最悪のシナリオだと思いますし、そういう方向に進んではいけないと思っています。
では高萩創生はどういうものを目指すべきか。私は高萩市は回りに揺り動かされない自立したまちを目指すべきだと思っています。そういう思いの上で、高萩創生重要課題であると思われる5点について聞いていきます。
1点目は高齢化対策です。市では現在でも高齢化対策として数々の事業を実施しています。社会福祉課、高齢福祉課、健康づくり課、教育委員会、総務課、危機対策課など、各課それぞれ事業を実施していまして、いわゆる縦割り行政の事業になっていて、それぞれよく検証していけば、似たような事業はないかとか、目的に応じて別事業として行っているが、実はその目的が重複していないかとか、一つの事業で複数の効果を期待できるものがあるのではないかとか、合同で考えた方がより効果が出るのではないかとか、ありそうな気がするのであります。
執行部ではすでに高齢化対策として各課情報交換をしてるとは思いますが、課を超えてのPTを設置してはどうか見解を伺います。
次に2点目、少子化対策についてです。小田木市長も最重要政策として力を入れている「はぎハピ」になると思いますが、私は是非とも「親育て」という視点を加えて展開してほしいと思います。「親育て」と言っても親になってからばかりではありません。独身時に親になるための意識や心構えを養うことも、結婚を左右するものだと思いますし、婚活の意欲に繋がるとも思います。
また、親になってからは、子育て支援の事業が、親の子育ての手抜きの手助けのようになっては本末転倒です。子育てを通じて親自身がしっかり成長することが大事であって、その喜びが第2子、第3子に繋がっていくのが本来の子育て支援のあり方だと思います。親育ては虐待防止にもなるでしょう。
昨年末、このすばらしい「はぎハピおたすけハンドブック」を発刊したのですから、このハンドブックを教材にして講座教室を開設するとか、定期的にセミナーや講演会を開催するとか、いろいろ考えられると思います。親育て支援について見解を伺います。
次に3点目、人口減少対策についてです。今回は特に農業人口について言いたいと思います。今本当に深刻な問題は、農家の後継者がいないということだと思います。このままでは高萩から農家がどんどん無くなり、農作物の地産地消ができなくなって、食の自立が事実上破綻してしまう危機的状況ではないでしょうか。この対策として、国や県の事業を最大限活かして、農業のUターン、Iターンを推進する、就農支援や奨学金制度を考えられないでしょうか。見解を伺います。
次に4点目、資産対策についてです。これは昨年9月議会で取り上げました「里山資本主義」の話にもなります。高萩市の中にある資産、市民が持っている資産を、如何にして減らさないようにするか、できれば増やしていけるか、ということであります。
昨年9月の議会では、市外で買い物をすると、お金が市の外へ出てしまい、市内にあったお金が減ってしまう。安いからと言っても市外へお金を出してしまえば、市の中にある資産はどんどん減り、どんどん貧乏になっていくという話をしました。でもこういうことを行政として市民に訴えるのは、市民の自由に干渉することになりかねませんので限界があると思います。どこまでできるか検討しなければなりませんが、資産対策としての経済のあれこれを、市民が学ぶ機会をつくれないものでしょうか。
また、せめて行政事業の上では、市内の経済効果を考えていくべきであると思います。例えば9月にも言いましたが、ゴミ処理経費の市外への支出は大きいと思います。その分の市内での経済効果が吹き飛んでしまうわけですから。
この質問のはじめに、高萩創生は自立を目指すべきだと言いましたが、ゴミ処理については「自分のゴミは自分で処理する」という法の理念の上でも、自立を目指すべきではないでしょうか。少なくても地域経済圏の中であるべきだと思います。答えにくいかも知れませんが、見解を伺います。
今の話の流れで、次に5点目の広域行政について伺います。
高萩創生の目指すところを自立するまちとするにしても、市民は市の中だけで暮らしているわけではありません。近隣地域にまたがり生活圏というものが、それぞれにあると思います。まぁ当然のことです。この市民の生活圏という概念と、自治体としての市の概念とは、バランスをとりながら成り立ってゆくものだと思います。最後の質問になりますが市長の、高萩のこれからの広域行政について展望を伺います。
<登壇2回目>
高萩創生というのは定住人口の確保が目的ではないと思います。高萩にある資源を最大限活かし、人材を育て、そのソフトパワーをいかんなく発揮していくことが本懐ではないでしょうか。
人口が減ろうが、今住んでいる市民が喜んで住んでいけるかが大事であります。
高萩市は豊かな資源に恵まれ、まちとしてもすばらしくコンパクトに集約されていて、自治体としてこれほどやりやすいまちは、そうそう無いと思います。
昔から高萩がこの地域の中心になって栄えていたのは、それなりの理由があるからだと思います。
地理的な要因、恵まれた資源、災害も少なく、インフラを整備しやすい。逆にコンパクトな故に人口は増えないようなつくりなのかもしれませんが、そう割り切った方が、より豊かなまちづくりができるのではないでしょうか。