平成26年9月定例議会一般質問

1.狭あい道路拡幅整備促進について
  ①狭あい道路拡幅整備の現状と課題(問題点と解決策)
  ②狭あい道路拡幅整備促進補助金交付要綱、後退用地買い取り要綱

2.高萩市の活性化について
  ①里山資本主義に学ぶ(豊かさを見直してみる)
  ②行財政健全化と地球温暖化対策


<登壇1回目>
 私は通告してあります2項目について質問いたします。
 1項目目、狭あい道路拡幅整備と管理について、まず現状とその解決策など市の取り組みを伺います。
 狭あい道路というのは、法的な定義はありませんが、簡単に言えば4mの幅がない狭い道路のことです。
 行政が狭あい道路と呼ぶ道路は、建築基準法第42条第2項にうたわれている、いわゆる2項道路のことですが、今回の質問は、2項道路以外の道路も含めて、考えを伺いたいと思います。
 幅員4m未満の道路は、生活道路としては道が狭くて使いづらいとか、特に救急車や消防車等の緊急車両の通行や、緊急作業が行える広さが確保できない道路なので、住民の住環境の不安要因になっていると思います。
 市長は市の重要政策として「安全な街づくり」「安心な街づくり」を掲げ市政を執行し始めました。まさにこの道路問題も重要な位置づけになると考えます。
 言うまでもなく道路は防災減災対策の1丁目1番地であると思います。そこでまず、市内の道路の状況として、道幅が狭く問題となっている道路はどのように把握しているのか、また、その課題に対して、どのように解決しようとしているのか伺います。


 2項目目、高萩市の活性化について質問いたします。
 活性化とは何でしょうか?街や地域を活性化するというのは、どういう状態にすることでしょうか?どういうイメージを描くのでしょうか?人それぞれいろいろイメージを巡らせるでしょうけど、活性化とは画一されたものではなく、それぞれの価値観の上で、いろんな形で思い浮かべる気がします。
 今日本は、人口減少の時代になりました。この流れはよほどのことがない限り変えられません。高萩市も例に漏れず、いや自然減少に加えて、人口流出などの社会減少もあるとする、人口減少を続けています。
 もし活性化というものが、「人の賑わい」だけで発想されるものなら、およそ現実的ではない発想になると思います。
 よく交流人口を増加して活性化を図ることも考えられていますが、これは例えば隣町との競争であって、近い将来にもうすでに限界が見えています。なぜなら、人口が減少してゆくのですから、当然、交流人口の絶対数も減ってゆくのであります。
 それから産業を通しての経済的活性化も言われるところであります。多くの人が「景気がよくなれば…」と嘆いてみたり、期待してみたり、現実的には努力の分だけ結果が出るという確証は全く見えない活性化策に気づき始めているのではないでしょうか。駅前や商店街の活性化も単なる経済的活性化ではイメージ通りには行かないことも、すでに現実が示されていると思います。
 このようにこれからの時代では、人口を増やすとか、目を見張る経済成長とか幻想を抱き求めることは、活性化には繫がらないのではと思います。

 では活性化をどういう風に考えるか。
 私はまちの活性化とは、人が健康で元気に生き生きと暮らし、住民同士のつながりの中で、笑顔が絶えない、幸福感をたくさん感じながら暮らせるまちなのかもしれないと感じ始めています。

 活性化の1点目として今回、私は昨年7月に発刊されました「里山資本主義-日本経済は「安心の原理」で動く」という一冊の本が、高萩市にとって、市民にとって、当を得た指標になるのではないかとの思いで、話を進めたいと思います。

 この本の著者は、日本総合研究所調査部主席研究員、日本政策投資銀行特任顧問の藻谷浩介氏とNHK広島取材班です。1年で27万部突破したそうです。東大や東北大を始めとする多くの大学で、学生が購入する書籍月間売り上げも1位になるなど、まだまだ売れているようです。
 さて今日は内容を細かく説明は時間上できませんので、ポイントを何点か上げたいと思います。

 1点目は、豊富な山林資源を活かさない手はないということです。木材としてだけではなく、間伐や製材時に出る木のクズも、木質バイオマスとして活かせば、代えがたい資源になります。木は建築資材でもありますし、エネルギー源でもあります。そう考えると髙萩にはほんとにたくさんの資源があるのです。今はその豊富な資源を生かしきれてないだけだと思います。

 2点目は、まちの中にある資産をなるべく外に出さないということです。高萩市は貧乏な街だとよく言われたりします。公社を生産する前までは確かに負債が大きく、市のお金はその金利に消えていきましたが、公社の目途が立った今はその頃よりは格段に良くなっていますので、否定したいところですが、お金があるとは言いがたいと思います。なぜ豊かにならないか。この本ではエネルギーや物をまちの外から買うから、まちの中にあったお金がまちの外に出て行ってしまうので、資産が減るということです。いや出て行った分、何らかの形で同じ価値として残るなら減ったとは言いませんが、少なくても外に出て行ったお金はまちの中で循環はしません。
 今の高萩市で資産減少の一番の原因は、ゴミ処理を市外企業に委託していることではないでしょうか。毎年約2億円が、市内の経済効果もなく消えていきます。これは大きな問題として考えなくてはなりません。毎年2億円の経済効果はそうそう作れるものではありません。ゴミを処理する経費ほどもったいないものはないので、そのお金がせめて市内の経済効果に繫がることが大事になるわけです。

 3点目は、里山資本主義という考え方によって、価値観が見直され、または新たな価値観が生まれ、それによって事業の復活や新しい事業が期待されます。これまでは近代化、工業化、未来志向と信じて企業誘致を推進し、雇用を創出し、市の発展を目指してきました。しかし、それと引き替えに、農林業関係の価値観が低くなってしまいました。そうした時代の流れは、若者を流出させる背景でもあります。付け加えておきたいのですが、高萩市の歴史で石炭産業は大きなことと言えますが、石炭産業は里山資本を活かしたのではなく、エネルギー産業として、経済成長と社会の近代化に寄与したもので、その後の「マネー資本主義」の源流になったものであったと思います。

 4点目は、里山資本主義は経済活動を否定するものではなく、東日本大震災で経験した、「水、食料、燃料」確保への不安を補うサブシステムであるということです。震災の時、憶えていると思いますが、いくらお金があっても、水も食料も燃料も買えませんでした。近代化されたインフラは不測の事態で役に立たなくなることを思い知ったのです。あのとき、水は井戸のあるお宅からいただき、食料は農家から調達し、木材を燃料として調理や暖房としました。このお金に依存しないでも、水や食料や燃料が手に入るシステムが存在することで、経済的不安を安心に変え、より豊かな暮らしになってゆく、これが「里山資本主義」の真髄です。
 5点目は、「里山資本主義」はいろいろと手間がかかるけれども、その手間を掛けることが人と人をつなぎ、人間関係を育み、コミュニティを構築していけるということです。高萩市でもコミュニティの再構築は重要課題であるわけです。

 6点目は、近代化され非常に便利になった現在、「里山資本主義」は過去の時代に戻るような感じがしますが、そうではなく、新しいものを捨てることなく、人間として失ってきたものを取り戻していく作業だということです。スウェーデンの女性環境活動家である、ヘレナ・ノーバーグ・ホッジ氏は、「懐かしい未来に向かうこと」と言っています。昔を懐かしく思い、昔に戻りたいという懐古主義とは根本的に違い、現在から将来に待ち受けている社会問題の解決策として掲げられています。

 7点目は、超高齢化社会を迎える今、「里山資本主義」こそ生涯現役の要になるでしょう。地域再生、地域貢献、温暖化防止、健康増進、介護予防など、自分の行動が小さいながらも社会貢献になっているという実感が、定年退職後の人生の喜びとなり生きがいとなるに違いありません。

 8点目は、「里山資本主義」で得られた安心感が、子を持ちたいという人間本来の欲求に向かうということです。政治の少子化対策は、子を産み育てる世代に、どうやって安心感を与えられるかという課題をベースにしていることを見てもわかると思います。

 9点目は、今本当に注目されている地方。9月3日に安倍改造内閣が組閣されましたが、今回新たに地方創生省が新設されました。また地域おこし協力隊の求人に、多くの若者が集まってきています。
 それから再生可能エネルギーの開発はさらに推進されています。中でもバイオマス活用は全国的に展開されていて、成功事例が次々と報告されています。まさに国の最重要課題が「里山資本主義」に向いているのであります。

 ポイントはまだありますが、一応これくらいにしておきますが、このように我が高萩市の活性化にとって「里山資本主義」は、多くのメリットが生まれると思えてしょうがありません。研究するに値すると思います。とりあえず、何ができるか里山プロジェクトを立ち上げてほしいと思いますが、見解を伺います。




<登壇2回目>
 再度質問いたします。
 1項目目の狭あい道路についてです。今、市内道路の現状と解決策について説明がありました。問題は二通りで、2項道路のセットバックの問題と、2項道路以外の問題に分けて対応することということでした。
 まず2項道路の問題は、自宅を建て替えるときに生じるものです。建築基準法では、道路に隣接している土地は、幅員4mが確保できるように、敷地を後退しなくてはなりません。これをセットバックと言います。自分の土地を削ってしまうことですので、土地の所有者はかなりの抵抗があると思います。なので様々な感情的な問題も生じているとも思います。
 市としては、建築基準法上の問題ではなく、住環境や防災対策など道路行政の問題として捉える必要があるとすれば、セットバック推進のための施策が必要になるわけです。
 セットバックの問題は、生け垣や塀等の既存物の撤去、セットバック後の道路とみなした土地の管理、そうした管理の問題を疎い、セットバック分の土地を市に提供する場合、測量・分筆費用が生じることなど、セットバックするにはお金がかかるということです。所有者としては自分の土地を道路として提供するのだから、何とかしてほしいという思いはごく自然なことのように思います。それで今回、なんとかセットバックにかかる補助、助成制度が作れないかと思い、この問題を取り上げることにし、他自治体の状況とか調査を始めました。すると多くの自治体で助成制度を策定して取り組んでいましたので、もしかしたら高萩市にもあるのではないかと、調べたところ、ありました。。。

 「高萩市狭あい道路拡幅整備補助金交付要綱」と「高萩市狭あい道路後退用地買い取り要綱」という二つの制度の要綱が平成10年に施行されていることになっていました。恥ずかしながら私は議員になって15年、このセットバックに関する市民相談を何件も受けていながら、この制度の存在を知りませんでした。言い訳になるかもしれませんが、私が関知する限りこの制度は表に出てきたことはありません。予算や決算にも計上されたことはないと思います。
 とりあえずこの機会に、この制度の内容を簡単に説明していただけますか?
 併せて、なぜこの制度が表面化されなかったのか説明してください。

 もう一つの問題、2項道路以外の問題は、例えば2項道路に指定されていない道路や、道路上にはみ出した植栽や、道路上に物を置くなどして障害物になっているなどがあると思います。この問題は住民の理解を求めながら、行政指導により進めることだと思いますが、その取り組みについて現状と課題を伺います。



 2項目目の活性化についてです。
 里山プロジェクトは市の産業振興や市民生活において、総合的に考えていくプロジェクトとして進めるとして、行政が取り組むべき活性化においては、欠くことができないのが行財政健全化と地球温暖化防止という視点だと思います。つまり、活性化のためにはお金を使えばいい、エネルギーを使えばいいというわけにはいかないということです。
 震災以降、円安による原油価格や輸入資材の高騰し、原発停止により、電気料金も値上り続けています。物価高騰社会状況では、行政経費の増大も避けて通ることはできません。限られた予算の中で、やりくりするするために、事業経費を安易に縮小削減してしまうと、活性化どころか萎縮してしまいます。
 また、近年の異常気象の原因には地球温暖化の影響があると言われています。8月半ば頃からの大雨や日照不足により、農作物価格も跳ね上がり、関連商品も急騰しています。市民生活に直接影響がおよび、活性化にとっても悪循環になります。
 地球温暖化は高萩市だけでどうこうできる問題ではありませんが、逆にやらなくていい問題でもありません。地球規模で取り組むべき問題です。

 私はこの行財政健全化と地球温暖化防止の対策としても、「里山資本主義」の考え方が引用できるのではないかと考えています。例えばお金をなるべく外に出さないようにすることで、予算規模は小さくなったとしても、お金は市内で循環し、経済効果が生まれたり、さらなる市民協働の街づくりの推進力として事業の縮小ではなく、行政負担分を少しでも軽くできるのではないか。うまくいけば活性化のマイナスをプラスに変えられるかもしれません。
 また、温室効果ガスである化石燃料からの二酸化炭素を削減するため、市としてもこれまでいろいろと取り組んできたことは理解しています。が、さらに削減するには、ガソリンや灯油や重油の使用量を減らす以外にないと思われます。
 ガソリンを減らすには、公用車の省エネ車への転換はすでに進んでいますので、他にガソリンを使用するのは、草刈りに用いるエンジン刈り払い機です。エンジン刈り払い機の何パーセントかを、人力かヤギ除草に変えるこことでクリアできます。灯油や重油は、ストーブなどの暖房器具やボイラー類は、木質ペレットを燃料とする機器にに変更していくことで、灯油と重油の必要がなくなります。
 「里山資本主義」の考え方が、活性化を萎縮することもなく、行財政健全化や地球温暖化防止を可能ならしめる対策だと思います。
 見解を伺います。




<登壇3回目>
 狭あい道路関連の説明がありました。
 この制度の周知はもとより、制度の拡充が必要なのではないでしょうか?それからこの制度は平成10年度から施行されていることから、施行後にセットバックを施した土地に関して、この制度を知らなかった場合はさかのぼって適用できるようするべきではないでしょうか?


 高萩市は市域の85%が山林で、昔は林業が重要な主要産業でありました。炭鉱で栄えたまちだと思っている方が多いと思いますが、炭鉱の坑道の落盤を防ぐ支保工用の木材が、かなりの量の需要があり、林業が炭鉱を支えていたと聞いたことがあります。林業は地の利的にも歴史的にも高萩市には適った産業なのだと思います。
 今日はもう一つ持ってきたものがあります。これは林野庁が発行している広報誌で、その8月号最新号です。この特集記事を二つ紹介します。

 「里山資本主義」は、山の中だけの話ではありません。例えば髙萩には海もあります。海ではお金を使わなくても魚やカニを釣り、海苔もとれます。
 街中では地元の特産品を活かしたり、家庭菜園で野菜や果物を作ることも、立派な「里山資本主義」です。おそらく髙萩では多くの市民の方々が無意識のうちに「里山資本主義」を実践していることでしょう。ですから、なおさら市民に受け入れやすい考え方だと思います。
 これこそ高萩市の真の復興ではないでしょうか。復興が本物であれば自ずと活性化になると思えてなりません。