平成23年3月定例議会一般質問

1.施政方針について
2.「げんたか」について


 私は通告してあります2項目について質問いたします。
 1項目目、施政方針について質問致します。3月4日、議会初日に市長から施政方針の説明がございました。
 施政方針とは毎年3月議会において新年度に向けての考え方を発表する内容であります。
 今回の施政方針は来年度を初年度とする高萩市の新しい第4次総合計画に沿って説明がありました。その第4次総合計画の是非に関わることにもなりかねないわけですので、市長の考え方について、私自身の理解を深める意味合いで質問したいと思います。具体的施策については予算や議案の中で審議検討されますので、ここでは施政方針冒頭の大見出し1.市政経営の基本的考え方についてお聞きしたいと思います。

 まずこの見出しにもなっています、市政経営という考え方であります。
 昨今国内のそちこちで聞かれるようになりました「自治体行政を経営する」という話ですが、以前は市政運営について経営するという言葉を聞いてこなかったものですから、まだなんとなく違和感を感じるのです。
 普通一般的には、経営というと公的民間問わず営業に関わる手法というふうに理解してきました。それを市政という行政に用いようということなのだろうと思うのですが、その辺の考え方というかやり方というか、私にはよく理解できていないわけです。
 恥ずかしながら私はこれまで、経営学というものを学んでは来ませんでしたし、もし経営というものが営利的仕業ならば、市政行政には縁がないものと考えていましたので、あまり必要性を感じなかったわけです。
 ところが市長は、今までもたびたび経営という言葉を用いてきましたし、今回の施政方針では市政の大前提のように、命題のように打ち上げられました。もしかしたらこの市政経営こそが草間市長の本懐なのでしょうか。そのようにも感じたわけです。
 この市長のメッセージを理解しないことには、今後のあらゆる市政において、執行部と議会のかみ合った議論審議がなかなかできないだろうと思います。議会が賛同するしないは別問題だと思いますが、本来なら市長が自分の考え方を先んじて議会に理解を求めるのが善処だったと思います。市政経営という考え方はまだまだ浸透定着はしていないように思うからです。いずれにしても今回議会に出てしまっていますので、わからないままでは審議できませんので、レベルの低い質問になるかもしれませんが、ご教示のほどよろしくお願いいたします。

 それではまず1点目の質問です。
 市長のイメージしている経営とはどういうものなのでしょうか?市政運営と市政経営との違いを対比しながら説明していただけるとわかりやすいと思います。

 2点目、実は私は今年になってから読んだ本の中に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という題名の長い本があります。通称「もしドラ」と言われ、昨年かなり売れた本です。
 この本なんですが、ここには160万部突破ということと、この3月からNHKでアニメ化が決まってるみたいです。それからみなさんご存じのように、この『もしドラ』は映画化されてまして、ここ高萩の工業高校跡地がロケ地になっているんですね。そして、6月頃公開の予定みたいですが、その原作本です。
 そして実はこの本は私が購入したのではなく、昨年末頃、高校1年の末息子が買ってきて読んでいました。読み終わると次には大学1年の長男、次に妻、それから少し間を置いて私が一番最後に読んだんです。ということで、うちでは家族全員が読みました。そういうことを考えると実際読んだ人は、子どもから大人までかなりの数になるんでしょう。
 正直私はこの本で初めてドラッカーという人を知りました。その後いろいろ調べてみると、このドラッカーという人はマネジメントの父と呼ばれ、経営学のまさにカリスマ的な偉人として崇拝されてるみたいです。まあ私の経営についてのレベルはこの程度で気が引けますが、逆にそういうレベルの理解を得ることに大きな意味を持つのではないかと確信して、開き直りとも言いますが、お聞きしたいと思います。
 2点目の質問です。市政経営とは市政をマネジメントするということでしょうか。
 もしそうだとすれば、市長が考えている経営される組織はどのように定義され、その事業である、目的と使命はどういうものなのでしょうか?また、事業の対象となる顧客に値する人とは誰になるのでしょうか?教えて下さい。
 
 3点目、マネジメントにはマーケティングの重要性が説かれています。また、マネジメントの実行には優れたマネジャー、リーダーシップが欠かせないことや、さらなる進展にはマネジメントの組織化でチームマネジメントが必要になってくるとあります。市長がマネジメント実行のリーダーであるとは思いますが、市長はマネジメントの専門家なのでしょうか?そして、今後のチーム・マネジメントの考え方があれば教えて下さい。

 4点目は大事な問題なんですが、地方自治法との整合性について確認しておきたいと思います。
 まず、地方自治法第2条の第14項には、地方公共団体は、その事務を処理するに当つては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。とあること。
 第15項には、地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。とあります。
 そして第16項には、地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。とあります。このことを踏まえますと、マネジメントとは地自法の理念を成就するための、手法手段であるということなのでしょうか?所見を伺います。
 市政事業の中でマネジメントできる事業は法定受託事務以外のものと思われますが、どうでしょか?もし市政全般をマネジメントするとすれば、法定受託事務はどういうふうにマネジメントされるのか教えて下さい。


 次に施政方針の中からもう一つ、地域主権という文言を用い、国においての法整備はさっぱり進んでいないようですが、そういう段階にあっても、市長は地域主権に期待を寄せているかのように言われています。
 私はかねてより地域主権について様々な懸念があるのです。
 それはまず一番大きな問題と思われるのは、高萩市のような小さな自治体と、何十万人もの人口がある自治体とでは、そのスタートの時点で格差が存在してるということです。
 市長が言うように、地域主権とは自治体が自立するということが目指すところだとすれば、具体的に高萩市が自立するには大きなハンディがあると思うのです。例えば財政上の問題は、地方交付税を無くすわけにはいかないし、むしろ現状よりもっと増やしてほしいくらいです。財政的に自立は今の時点では不可能としか思えません。
 また人材の問題もあります。高萩からだって優秀な人材はたくさん育ちます。しかし、進学や就職等で出ていてしまうケースが多々あると思われるのです。戻ってきてくれることを期待する以外にしょうがないという、現状ではないでしょうか。
 それと高萩の地域性の問題もあると思います。地域主権の実現性は現在ではほぼ皆無ではないでしょうか?
 しかしそれでも地域主権に向かうならば、検討時期である今こそ国に対して提言しなければならないと思うのです。考えを伺います。



 2項目目、「げんき!高萩づくり」通称「げんたか」について質問いたします。
 この「げんたか」についても施政方針の前段に総合計画のキーワードとして挙げられております。
 疲弊感漂う現在の社会の中で「元気」との言葉はとてもすばらしいと思います。
 元気といってイメージされるのは、なんといっても笑顔、笑いではないでしょうか。笑顔溢れるまち、想像するだけで住みたくなる気がします。今回はこの笑顔というスタンスから質問いたします。

 まず1点目は、このところめざましい活躍のはぎまろくんに、さらなる活躍を期待しての提案です。
 今やはぎまろくんの勢いはかなりのものでしょう。各イベントでの登場はもとより、バイクのナンバープレート、庁舎時計へのプリント、高萩ブランドのイメージキャラクター、バージョンを替えての展開と、そしてなんと最近では、市報で紹介されているように、はぎまろの仲間達まで登場してきました(笑い)
 このはぎまろの存在をより影響力のあるものとするために、はぎまろを真似るリアルはぎまろを登場させたらおもしろいのではないかなと思うんですよ。
 それは市民の中からはぎまろの衣装を着る、いわゆるコスチュームプレイ、通称コスプレの登場や、商店や観光地などでの呼び込みの衣装にするとか、かぶり物ではない手作りのはぎまろコスチュームを身にまとう人が出てきたらおもしろいなぁと思うのです。どうでしょう?
 そのきっかけ作りは、例えば高萩まつりのイベントの一つとして、リアルはぎまろコンテストをやってみるとか、どうでしょう?
 それと市役所での笑顔づくりとして、職員のひとりがリアルはぎまろに扮して、普通に日常業務をしているのもおもしろくないですか?毎日かわるがわる誰かがはぎまろになる。今日のはぎまろはどこだろう?はぎまろを探せみたいなのも楽しい企画だと思います。まあ市民に失礼のないようにするのは当たり前ですが、笑顔づくりの大きな効果を期待しても良いのではないでしょうか?見解を伺います。

 2点目は「げんたか」の一環であると思われます「生涯現役」について伺います。
 施政方針でも披露されてましたが、昨年の生涯現役社会推進条例の制定や来年度に予算化しています「生涯現役自治体サミット」の開催など、全国に先駆ける取り組みを進めています。今や草間市長は生涯現役社会の草分け、フロンティアと呼んでもいいかもしれません。
 私は生涯現役のイメージがまだ漠然としてる感じがします。それは定年制を基本とする現実社会での形態が厳然とあって、定年後の価値創造を求めるだけの土壌も価値観もまだまだ求められてなく、ゆえに作られてないと言っても過言ではないでしょう。
 いや、部分的にはサークルやコミュニティにおいて元気に楽しく過ごしている方や、生涯学習等の向学心に勤しむ方もおられます。
 また、ボランティア活動や趣味などに傾注されている方もおられるでしょう。その他にも知り得ない価値もあるはずだと思います。
 個人の生活においての営みに、行政がどのように関わっていけるのかは様々な意見があるかと思いますが、現実問題、今後さらなる高齢化社会を迎えること、特に団塊の世代が定年になり始めていることを考えますと、元気な高萩づくりにはこの生涯現役社会という新たな生き甲斐と価値観を生み出すことは急務であることは間違いないと思います。
 そこで伺いますが、市長の生涯現役社会というビジョンはどのようなものなのか。また、それに向かって、取り組んでいる、または予定している事業があれば、その目的と事業内容を紹介していただきたいと思います。
 質問は以上でございます。



<登壇2回目>
 ありがとうございました。市長が言う経営について大分イメージが見えてきました。市政を運営するための手段・手法としてマネジメントを行うということでしょう。
 さてマネジメントということで、今後大事になってくることは、マネジメントの目的を果たすということだと思います。
 それには市政に関わる職員の方々はもちろんのこと、審議する議会側と意見を聴取する市民に対しても、さらなる理解を得ていかなければならないと思います。
 そのために必要だと思われるのは、市長がやろうとしているマネジメントに教科書的なものや先例があって、それはそのまま研修すれば理解に繋がるものなのかどうか。教科書はあっても専門的でむずかしく、広く一般には理解しがたいものならば、それをわかりやすく噛み砕きながら理解を得ていかなければなりません。また、市長以外にマネジメントに関する専門家が職員にいるのかどうか。もしいないとなれば専門家を外部から登用する考えがあるのかどうかお聞かせ下さい。
 それから、マネジメントの効果を継続させていくには、同じ企画が続く必要はなく、絶え間ないイノベーションこそが重要であるとと思うのですが、その考え方について見解を伺います。



<登壇3回目>
 最後の登壇になります。
 市長、私の未熟で稚拙な質問に対して真摯に答えていただき、ありがとうございました。マネジメントについてかなり勉強できたかなと思います。
 はじめに紹介しました「もしドラ」の本の中で、マネジメントをするマネジャーの資質について、ドラッカーのマネジメントの本文から次のように引用しています。
「人を管理する能力、議長役や面接の能力を学ぶことはできる。管理体制、昇進制度、報奨制度を通じて人材開発に有効な方策を講ずることもできる。だがそれだけでは十分ではない。根本的な資質が必要である。真摯さである。」と。もう少し続いて、「マネジャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくても学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。真摯さである。」と。
 もしドラの本の中で主人公は、この一文を読んだとき、しばらくの間涙があふれて止まらなかった。ということでした。
 また、野球部のマネジメントの目的は、人々に感動を与えるということでした。野球を見てる人はもちろんのこと、学校や地域の住民、プレーしてる本人達も、マネジメントを起用したマネジャー自身も最後には感動して終わります。
 市長の行う行政のマネジメントが、市民の安心安全な生活を実現し、さらに市民に夢と希望と元気を湧き上がらせられることができるように望んで止みません。その感動こそがこの上ない価値だと信じて質問を終わります。