行財政健全化計画(案)について

 先に通告いたしました行財政健全化計画(案)について質問いたします。
 この計画案は先月2月22日に行われた議会全員協議会で初めて執行部から提示され説明をされました。
 その内容は非常に重大で、慎重に検討しなければならないものです。
 執行部からの説明を聞き終えて、先ず確認のための質問があってしかるべきなのですが、議員の質問は一切させてもらえませんでした。質問は議会で行うことにすればいいという風になりましたので、ここで質問するわけです。
 全協での状況から考えても、議員側が質問を押さえたのか、執行部が質問を受けたくなかったのかはっきりしません。まず、一つめの質問として、そのことを明確にしたいと思います。
 執行部は議長に対して、全協での質問はしないように要請していましたか?

 その後執行部は、2月25日から5回に渡って市政懇談会を開催し、市民を対象に、この計画案の資料を配り説明されたという流れになったわけです。

 私は2月27日の秋山小学校での懇談会に参加し、執行部の説明を聞いていました。その時の説明は、22日の全協での説明とほとんど同じような内容だったわけですが、私は疑問を持ちましたし、今でも納得できずにおります。

 それではここからは、行財政健全化計画(案)について、質問を進めたいと思います。 

 始めに計画案の1ページ目に策定趣旨がうたわれていますが、その内容について確認したいと思います。

 1点目、高萩市が未曾有の危機的財政状況に陥った理由として、国の地方交付税の大幅削減と地方公共団体財政健全化法の制定の二つを前面に出し、いかにも責任は国にあるというような印象を持たせようとしていると思われます。
 そうした国のせいで土地開発公社と住宅公社の債務がごまかせない時期になったと、言わんばかりに説明されています。
 こういう論法は、いじめっこがいじめる理由として、いじめられる子に原因があるというのと、全く同じだと思います。

 ここで少しこの問題の経緯を振り返りたいと思います。
 私は平成11年11月に初当選し市会議員になりました。当時から両公社の無謀な債務は失政によるものだと、指摘してきました。
 平成12年3月議会、初当選から2回目の定例議会で、私は当時の大久保市長に、失政の総括をするべきだと迫りました。
 また、平成15年の3月議会では、岩倉市長に対し、同じように総括をするべきだと訴えました。
 私がこの総括をすることに執着する理由は、当たり前のことですが、これから前へ進む上で、今までの反省と責任を明確に理解し、時には、先哲の知恵に学び、時には同じ轍を踏まないように命に刻むことが、非常に大切であると考えているからであります。

 なかなか総括ができないのは何故なのか、責任が明確になると不都合が生じてしまうからなのでしょうか。

 本題に戻りますが、この策定の趣旨に挙げられている、財政危機に陥った理由は本末転倒であり、市民に納得してもらうにはあまりにも胆略的だと思います。

 どういうことか述べてみたいと思います。
 まず、地方交付税の削減については、いま急に出てきた話ではありません。平成14年にはもうすでにわかっていたことです。当時市町村合併を推進するため、合併した自治体には特例債を出すが、合併しなかったら地方交付税を削減していくという説明はされておりました。当時の執行部から説明されたのですから、当時の議員は全員知っていました。

 そして現実に日立市と十王町といっしょに高萩市も合併のための協議会に参加していました。議会にも行財政改革調査特別委員会が設置され、合併にについて検討されていました。紛れもない真実です。

 しかし、そうした中、時を同じくして協同病院の移転問題とオーバーラップしてしまいました。協同病院移転新築推進派の議員だった方々は、病院の移転が決まらなければ、合併の話はしないと言って、委員会の審議をボイコットしたのです。そして合併の道は閉ざされました。その時点で地方交付税が減額されることは決定したのです。
 あわせて、協同病院の移転に対する補助についても、当時の収入役からは、協同病院に対する補助は大変な負担になると涙ながらに訴えられたのも、当時の議員は全員聞いています。
 その後、知事の斡旋により協同病院への補助は半減したものの、やはり高萩市にとっては大きな比重になったのも事実でしょう。

 両公社の開発はバブル崩壊後の決定であり、失政の他の何者でもありません。また、総合福祉センターの建設も費用がかかりすぎではないかと思います。加えて日本加工製紙の倒産とゴミ処理事業の混迷は追い打ちをかけるようでした。
 市長のリーダーシップは発揮されず、議会のチェック機能も甘すぎました。しかし、市長も議員も市民が選挙によって選んでいるのですから、議会制民主主義においては多数決によるしか道は無いのであります。

 秋山小学校での市政懇談会に参加したときのことですが、ある市民の方が、議会は何をしていたんだという内容の発言がありました。おそらく多くの市民の方々がそういう思いを抱いてるかもしれません。その他、議員に対する不満もありました。それは真摯に受け止めなくてはなりません。

 ただ、市長の説明では、施行部と議会と市民が一致団結してこの難局を乗り越えましょうとの発言は、市民に誤解を与えてしまうだけだと思います。


 確認しておきたいと思いますが、議会は市政のチェック機関です。その権限をそれぞれの議員に市民が与えているのです。市民は自分の代弁者を選挙によって選んでいるのです。極端な話、自分が投票する候補が自分の代弁者になるのだと、そこまでよくよく考えて選挙に向き合うことが大事なのではないでしょうか。
 議会と施行部は車の両輪ではないのです。チェック機能が低下したら、市長の意のままに動くとしたら、それこそ議会は必要なくなるのです。また、執行部となぁなぁの仲では失政を繰り返すことになります。

 何がいいたいかと言いますと、これから行財政改革を断行しようと言うならば、現状に至る経緯を正確に把握し理解し、さらに、行政執行部、議会、市民のそれぞれの立場役割を正しく明確にすることが大前提であると言いたいのであります。そのためには、今回開催した市民懇談会での説明においては、一言たりとも間違ったことを言ったり、言葉足らずであってはならなかったのであります。

 また、市長は懇談会での質疑応答の中で、夕張市を財政破綻の説明に用いています。例を挙げて説明に用いるのであれば、夕張市についてもっと具体的に説明するべきではないでしょうか?イメージだけで説明に用いることの怖さははかりしれません。
 現在夕張市は財政再建計画を実施中であります。そういう意味ではこれから健全化を進める上で、施策の参考になるものが多々あると思われます。

 また、策定の趣旨の最後の部分に、市民の皆様には、負担をおかけすることになりますがと言い切ってしまっています。はじめに市民の負担ありきですか?それはないでしょう。行政側でこれだけがんばりますからというのが先じゃありませんか?

 質問の1点目が長くなりましたので、質問の要点を申し上げます。
1番目.財政危機に陥った理由の説明は当を得ていないと思いますがどう考えますか。
2番目.説明に夕張市を引用しましたが、正しい判断でしたか?
3番目.市民に負担をかけるとした説明は執行部への信用信頼を落とすことになりませんか。
 市長のご意見を伺います。



 2点目の質問です。健全化計画案の中身について伺います。
 まず、歳入の確保について伺います。
 私は何はともあれこの歳入の確保がメインテーマだと考えています。例えば赤浜工業団地のTK−2に優良企業が進出してくれれば、この健全化計画そのものが180度転換します。つまり、収入によって計画のおもむきが変化すると言うことです。
 そこで質問いたします。

 1番目.市長は企業誘致について機会あるごとにトップセールスを主張しております。松下政経塾等の人脈も言及するなど、大変期待したいところであります。現在何かいい情報や計画があるのでしたら、その旨だけでも提示して頂けませんか?

 2番目.現在国会で議論されております道路特定財源問題ですが、我が高萩市にとってこの道路特定財源が削減されるようなことがあれば、どのような影響が起きるのでしょうか。具体的に示して頂きたいと思います。

 3番目.受益者負担の見直しですが、特に営業をするものへの負担率は100%以上に設定するべきだと思います。所見を伺います。



 3点目の質問です。事務事業の再編整理等による再構築について質問します。

 1番目.民間委託等の推進という項目と大きく関わる部分であります。民間委託の最大の目的は、経費削減と事業内容の質の向上にあります。どちらかの選択ではなく、より安く、かつ質が向上されるように目指すべきです。質の向上だけを目的とするには財政的有効性がありません。
 そういう見地から考えれば、これまで民間委託してきた事業についてももう一度見直す必要があると思われます。特に福祉法人に関わる事業は、昨年6月議会で提言しましたように、厳重にチェックするべきと思いますが、所見を伺います。(高かろう悪かろうが見受けられる)

 2番目.この事務事業の再編整理等による再構築という部分が、市民に対する行政サービスとして大きく関わる部分であります。本来ならこの項目は一番最後に手をつけるべきところであり、執行部の市民に対する姿勢が表れるところであります。
 この計画案の中では具体的取り組み事項の項目の2番目の項目に記載されているわけですが、この順番は取り組み事項の優先順位として捉えるべく組み立てているのでしょうか?つまり、歳入の確保の次に事務事業の再編整理等による再構築を重要度順位と考えているのか伺います。



 4点目の質問です。定員管理・給与の適正化について質問いたします。

 市長、この項目こそ改革の主眼とは思いませんか?市民の方々がこの計画案を聞いて、どうしてもすっきりしないのは、この部分だと思います。
 それは職員についての不平不満があるからです。当然職員の全員の職務姿勢を見ているわけではないと思いますから、市民に思われてる職員像が、必ずしも適切であるかどうかは疑問ですが、市民はいろんな場面で職員と接し、積み重ねてきたイメージとあわせて、感情的な思いこみもあるのかもしれません。
 いずれにせよこの職員の処遇について明確にしない限り、市民に理解を得ることは難しいと思います。
 また、市民が職員のことを思うのと同じように、議員に対してもいろんなことを思っていることは間違いありません。
 そこで、弁解したいわけではありませんが、議員報酬について、確認したいと思います。

 議員報酬については市報等で公表されているとおりでありますが、報酬の月額は375000円、うち共済年金と所得税が引かれますので、手取りで、約31万円です。
 私の場合、この手取りから国民健康保険税、国民年金を支払います。その他にも住民税、固定資産税、を支払います。それをサラリーマンの月収手取りとして考えると、約21万から22万円です。その手取りから住宅ローンと借地代、自動車維持費、電話代光熱費、子どもの学費、を差し引くと残りが約4万から5万円、それが我が家の家計です。それで食費と衣類や生活用品代としていました。現在は当然、妻も働いております。 もし、優秀な方が高萩の将来を憂い、志を持って市議会議員になって働こうと思ってくれたとしても、サラリーマンをやめて生計を立てていけるのか、甚だ疑問です。高萩市の市議会議員になるには、他に職を持ちながらの兼業者か、定年退職後の方か、家族の収入がある方か、生活費がかからないような人でないとおそらく続かないと思います。高萩市の議員の収入のレベルは、その程度なんです。まぁそれをわかった上で議員に立候補したのですから、泣き言を言ってるのではありません。
 それと、少なくても私を応援してくれた方々は、私が議員として市の予算のうちの議員にかかる経費の使用を、選挙という承認行為を通じて認めてくれたのです。市政のチェックをお願いされたのです。ですから私は議員にかかる経費を使うことに後ろめたさは全くありません。
 それと、定例議会は年間4回で延べ70日ぐらいですが、それは議会が開催されている日数であって、議員としての仕事は年中無休だと思っています。考えてみてください。年間200億円もの予算の様々な施策事業をチェックするのですから、時間が足りないぐらいです。

 しかし、それでもです。それでもなお市の財政が厳しくなり、市民への負担が増大するのであれば、議員にかかる経費を少しでも減らそうと思うわけです。

 そういうことを踏まえて質問に戻ります。
 1番目.市民を守ることは公務員としての大きな使命だと思いますが、この財政危機に直面し、職員は何を持ってその使命を果たそうと考えるのか。こうした健全化計画を実施するとき、職員はまず何をするべきでしょうか?少なくても為政者は職員に対してそのことを考えさせるべきだと思いますが、どうでしょうか?

 2番目.職員数削減と平行して臨時職員の適正な配置・活用とうたわれていますが、このことで指摘しておきたいのは、職員の臨時職員等に対する意識を向上させるべきであるということです。それは、本来職員がするべき仕事を、職員より少ない給料で働いてもらうことになるからです。
 例を挙げますが、小学校内の児童クラブやつどいの広場の立ち上げに尽力して頂いたかたは、本来2倍以上の給与に値する方でありました。それを高萩市の未来のため、子どもたちのためとの思いで、仕事を辞め、臨時職員として少ない給料で勤めてくれていたのです。しかし、結果的には職員との間ですれ違いとも言うべき処遇で退職したと聞きました。情けなく残念で仕方ありません。純粋に市を思う気持ちを生かし切れなかったのであります。また計画案では、ボランティアの登用も計画されていますので、何よりも職員の意識改革を望むものであります。所見を伺います。

 以上です。




<2回目の登壇>
 再度質問いたします。
 この財政危機という問題は高萩市だけの問題ではなくて、全国的に多くの自治体が抱えている問題です。そういう中で全国では、自分の自治体が破産するのではないかと心配して、財政破綻について調査研究する人が出てきています。当然といえば当然ですが、何とかしようとする人は結構いるものなんです。
そういう人の中で、夕張について研究している方がいます。事細かに研究しているのですが、参考までにその方の夕張市に関する結論を紹介したいと思います。

 夕張市が財政破綻した責任の所在について、
 まず、市長を中心とする執行部は不正を繰り返し債務を膨れあがらせた張本人。
 そして議会はそれをチェックできなかった無能が故の責任。
 それと、執行部の行政執行を疑問としながらも内部告発しなかった職員の責任。
 そして、市長、議員を選んできた市民の責任。
 つまり、夕張市が破綻したことに対する責任が無いのは、選挙権を持たない子供たちだけであった。という結論を導き出しています。その上で、現在夕張市から転出してしまった議員や職員のことは、実行犯の上逃亡者だと断言しています。
 これが正論かどうかは別として、調査研究して見えてきたものなのかもしれません。
 
 高萩市が財政危機に陥ってしまった責任もまた同じなのではないでしょうか。

 いろいろ申し上げてきましたが、私はなんとか高萩市を蘇生させたいと思っております。再生ではなく蘇生です。
 それには歳入増幅と自浄作用の向上とガラス張りの市政が必要と考えます。例えば、自動販売機の設置を飲料企業直接契約で行うとか、内部告発窓口を設置するとか、企業誘致に関する情報を公開し市民投票するとか、市民の負担を大きくする前にまだまだやれることはあるのではないでしょうか?

 そういうことを踏まえて申し上げますが、この計画案を、もう一回作り直しませんか?
 そして、まず議員に理解してもらえるよう説得してから、市民の方々に理解を求めてはどうでしょうか?