一般質問0503

1,CAPプログラムについて


 先に通告しましたCAPプログラムについて質問致します。 まず、CAPプログラムについて、ご存じとは思いますが少しだけ説明させてください。
 C・A・Pと書いてCAPと言っていますが、これは
 Child Assault Prevention の頭文字をとって略しています。
 日本語に訳すと「子どもへの暴力を防止する」プログラムという意味になり、もっとわかりやすく言えば、「子ども自身が暴力から自分を守るための教育プログラム」であります。
 元々は、1978年にアメリカのオハイオ州コロンバスにあるレイプ救援センターで開発され、日本では平成9年に葛飾区の小学校で初めて導入されました。その経緯については詳しくは述べませんが、導入した反応はとても好評で、現在では葛飾区内ほとんどの小中学校で実施しているようです。
 全国的に見ると、平成13年6月に起きた大阪池田小学校の事件を機に「CAPプログラム」を導入する学校が増えてきてると聞いております。

 では、「CAPプログラム」の内容はどのようなものか。
 子どもの安全対策については、子どもが心配だからといって、大人が、常に、そばに付いてるわけにもいきません。
 子どもたちに「何々をしてはいけません」と危険防止策を教えるだけではなく、子どもたちが、自分で自分を守れるように、自らが持っている力を引き出すことの大切さを教える、教育(プログラム)であります。
 日本人の気質の中には、ハッキリ「NO(いやだ)」と言うことが苦手とか、むしろ言えない。と言うことがあると思います。
 それは子どもも同じで「NO(いやだ)」と言うと、対人関係をまずくするのではないか?と思い、誘惑や危険から回避できず、犯罪に巻き込まれてしまうケースもあると指摘されています。

 そこで、このCAPプログラムでは、危険に遭遇したら @「勇気を持って、いやだと言う」A「その場から逃げる」B「誰かに相談すること」を基本にしながら、寸劇や歌、ディスカッションなどを交えて、実際に起こりそうな出来事を紹介し、危険への対処の仕方を学ばせようとするものであります。

 そして、わかりやすい人権概念を教え、子どもたちがいじめや痴漢、誘拐、DV、虐待、性暴力といった様々な暴力に対し、何ができるかを教えるプログラムであります。

 人権教育に関しては昨年9月議会で「人身売買」を通して取り上げましたが、このCAPプログラムでは他人の人権だけではなく、自分の人権を理解させる目的も含まれています。
 ここが大きなポイントだと思うのです。

 説明はこのくらいにしまして、この3月議会には来年度予算案が上程されております。
 その中に、子どもたちを様々な暴力から守ろうとする施策のための予算も盛り込まれ、市長の施政方針の中でも謳われておりました。

 例えば、次世代育成支援対策の一環としての、子育て支援アドバイザーの派遣や、児童虐待防止対策のネットワーク強化、また、新規事業である「地域子ども安全ボランティア」、そして、学校幼稚園の管理強化のための設備整備などなどです。
 できうるものは全てやりましょうとの意気込みは充分伝わってきます。
 大変に心強いばかりです。
 大人が出来ることはほとんど網羅できたような感じです。
 あとは、子どもが子ども自身ができる自己防衛法を教えられればと考えるものです。

 なぜか。なぜそう思うのかと言いますと、これは言うまでもないと思いますが、事件というのは助けてくれる大人がそばにいないときほど起こりやすいからです。

 児童虐待はそのほとんどが事件が起きてからしか発見できません。
 通学途中で事件に巻き込まれるケースは、やはり、人目がない場所で起きやすいでしょう。
 ですから子ども自身が自分を守る方法を学ぶ必要があると思います。
 事件が起きてからの万全の対応だけではなくて、事件を未然に防ぐ、一番望まれる対策が期待できるのであれば、この「CAPプログラム」の導入を検討する価値が大いにあると思われます。

 このプログラムの特徴は以上に留まりません。大人になってからも充分通用できますし、子どもの親の授業もあります。
 つまり、もともと、アメリカのレイプ被害対策が発祥理由ですので、大人にとっての防犯・自己防衛法として学ぶことが出来るのです。

 以上、子どもたちを守るためだけのものではなく、大人の自己防衛法にもなり、そして、防犯につながってゆくプログラムであると思います。
 繰り返しますが、いじめ、痴漢、誘拐、DV、虐待、性暴力等々の人権を無視した様々な暴力から、子どもたちや自分を含めた大人にも一役になるプログラムであるならば、この「CAPプログラム」を実験的でも検討する価値があると思われますが、見解を伺います。




<2回目の登壇>
補足説明
 このCAPプログラムは、世界15カ国で実施されております。
 具体的には、ワ-クショップ形式で行われ、子どもに一方的に説明するのではなく、子どもの意見を聞いたり、子どもにロ-ルプレイ(役割劇)に参加してもらい、子どもに直接働きかけて実感できるようにしております。
 子どもワ-クショップでは3つの大切な権利『安心』『自信』『自由』について、この権利を守るためにはどうすればよいのかと言うことを学びます。
もしも暴力を受けると、『安心する権利、自信を持つ権利、自由に生きる権利』この3つの権利が奪われることになります。
子どもにとって人権意識を育てることは非常に大事なことだと思います。『自分を大切にすることによって、他人を大切にすることにもつながる』からです。
また、子どもが被害を受けやすい理由として
・知識の欠如
・社会的な力を持たず、依存せざるをえない
・孤立などのてんがあげられます。子どもたちが本来持っている力を引き出すためにも「CAPプログラム」の実施は大事だと思います。
また、「CAPプログラム」の実施形態については
・就学前プログラム
・小学生プログラム
・中学生プログラム と一人の子どもさんが最低でも3回学習できるようにするのが理想とされております。また、それにあわせて保護者のかたも学習しホロ-できる体制をつくることが大事だといわれております。

 各地での取り組みの中でさまざまな報告が取り上げられております。
 全国で初めてCAPを授業で行った東京都葛飾区での終了一ヶ月後のアンケ-トでは「いじめてくる友達に『いやだ』と言ったらやめてくれ、けんかをあまりしなくなった」「自信がもてるようになった」「勇気がわいてきた」などと、大変効果が上がっていることがわかっております。また、お母さんからの回答の中に「自分も子供の頃虐待を受けていた。このプログラムを身につけておけば自分も防げたかもしれない」と書いてありました。トラウマは、事件を自ら表現し、人生の一部分として受容できたとき、克服したと言えるそうです。